このように「リタイアド」や「マチュリティ」といった従来型の高齢者をイメージさせる言葉を避けることで、新しい世代であるベビーブーマーの会員獲得を図ろうとしている。
雑誌デザインの大幅な刷新で、タイトルには「The Fearless 50(フェアレス50 − 恐れることのない50歳以上の人達)」という言葉が使われている。このFearという言葉は、アメリカの過去の歴史的転換点で、何度か登場している重要な言葉である。

「The Fearless 50 - The Most Innovative Americans over Fifty(最も革新的な50歳以上のアメリカ人)」に登場するのは、たとえば、フォーク歌手のボブ・ディラン、インターネットの女王エスター・ダイソン、パーソナル・コンピューターの父アラン・ケイ、エネルギー経済学者のエイモリー・ロビンス、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、投資家でフィランソロピストのジョージ・ソロス、ナチュラル・メディスンの名著で知られる医者のアンドリュー・ワイルといった錚々たる人物ばかりだ。

年齢もライオンキングのプロデュースで知られる50歳のジュリー・テイラーから91歳の現代彫刻家ルイーズ・ブルジョイスまで幅が広い。「最も革新的」というタイトルの脇には、Risk-taking(リスクをとった)、Quantum-leaping(大きな改善を行った)、Status quo-shaking(現状を打破した)、Mind-bending(精神性に影響を及ぼした)、Soul-stirring(魂を揺さぶった)、World-changing(社会を変革した)という言葉が添えられている。

この団体の特徴は「シニア」を対象としても「高齢者」ではなく、「恐れず挑戦する50歳以上のシニアの集団」を強調している。これはケネディ大統領が就任演説として語った「挑戦を諦めた者は自己を否定するものである」との有名な言葉に基づいている。その後、ケネディ大統領の精神で「キューバ危機」を乗り切ったことは有名である。

歴代の団体の幹部が強調しているのは、「人は一般に年を取るにつれ、保守的になり、変化を嫌い、安楽に過ごしたいという気持ちが強くなる。それを最も排除しなければならない」ということである。
日本を見渡せば、多くのシニアがすることもなく唯病院に毎日のように時間つぶしに通っている現実もあり、そのことが医療費の拡大となり、国の予算を圧迫している。「気は病から」と言い、「恐れず挑戦する」姿勢でスポーツ、レクリエーション、リゾートとシニアが活動していけば、健康維持に繋がり、精神的な健全さが生まれることになる。

このような「恐れず挑戦するシニア」をテーマとして、日本でもアメリカに劣らない活動を計画し、1,000万人のシニアの組織化をめざしたい。このようなシニアを「チャレンジ・シニア」と名づけ、そのような集団を「チャレンジ・クラブ」として活動をめざしたい。
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